プロレスには社会とのバイパス手術が必要なんだよ!:秋岡清文

社会問題や最新ニュース、実体験を新日本プロレスにつなげるプロレスブログです。そこにはきっと新たな刺激がある。読書家(月10冊読了)。本を参考にした記事や秋岡のおすすめ書籍の紹介もおこなっています。何事も【一歩踏み出す勇気】が必要。

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柴田勝頼は生きてます。

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田勝頼は生きてます。
今回公開された道場密着動画をみて単純にそう感じた。

 

生きてます。


この言葉は柴田自身がファンの前で言った言葉。

2017年オカダとの壮絶な試合の後の病院搬送。
診断は急性硬膜下血腫。
その後彼は長期療養に入る。

 

急性硬膜下血腫はその出血量により予後がかなり変わります。

出血量が多いとミッドラインがシフトして脳ヘルニアになる。

そうなるともうプロレスは絶対に出来ないでしょう。

 


彼の場合は公式に詳しい説明がなかったので私は判断ができませんでした。
今後どうなっていくのか。
そもそも普段の生活ができるレベルなのか。

 

負傷欠場後初めて両国に柴田があらわれた時のこと。


曲とともに彼は颯爽と軽やかな足取りでリングに駆け上がり、そしていつものあぐらを組む柴田のムーブ。
懐かしさに一瞬浸るとともに、あの柴田なのだと当たり前のことを感じた。
怪我をしてからの数ヶ月の時間が一年ほどに感じる。
それほど久しぶりに柴田を見たという感覚に陥っていたのかもしれない。

 

大丈夫、しっかりしているしこれなら普段の生活が出来るレベルだ。

後遺症も軽度で済んだのだろう。

安堵する私。

 

 

おもむろに彼は立ち上がり、ニヤッと笑いマイクを握る。

何を言うのか。

大柴田コールから一点して息を呑む会場。
大観衆が一瞬にして無人になった。
そんな感覚。

 

 

彼はすぐには喋らない。
その間がとてつもなく長く感じられる。
水を打ったように静まり返った会場に、沈黙の期待と不安が入り交じる。

 


何を言うのか。

 


長い。ものの数秒がこんなにも長く感じるとは。
あなたはこの数秒の間に何を考えただろう。

 


復帰する?


引退発表?


怪我の状態報告?

 

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様々な思いが交錯していてたに違いない。
その時の私の心境…


つらい。


ただただつらい。

 


絶対に引退を発表すると思った。
固唾を呑み画面に見入る。

 

柴田が観客を眺める瞳が潤んでいるように見えた。
私の胸の鼓動がだんだん激しくなる。

 

やめてくれ。
引退発表なんて聞きたくない。
生きているだけで十分じゃないか。
ファンがあなたの姿が見れただけで十分じゃないか。

 

 

様々な思いが交錯する中、彼の口から発せられた言葉。

 

 

 

 

生きてます。

 

以上。

 

 

 

 

たったそれだけ、他にはなにも無い。
しかしその言葉にすべてが入っている。
柴田勝頼という人間の生命が詰まっている。

 

言葉にこんなにも力があると感じたことは今まで一度もなかった。

多くのことばを重ねることが出来た場面。
多くの言葉を欲していたであろうファン。

 


そこで発した、たったひとことの言葉。

 


私が想像していた引退宣言なんてちっぽけな解答を吹き飛ばすには十分な言葉。
その言葉を聞いたとき、心が澄み渡るような清々しい気持ちになった。。
まるで台風がやってきた次の日の、快晴の空のような気持ち。
もやもやジメジメした雨雲を台風が吹き飛ばしていった。

 


気持ちのこもった力強い、たったひとことの言葉。
柴田らしい。真っ直ぐな飾らない答え。

 


生きてます。

 


そう、それだけで十分なのだ。
生きていることがわかればそれだけで十分。
多くを語らなくても、ファンは安心したしマイナスなことも聞かなくてすむ。
詳しい話題をふるのは野暮なのだ。
根掘り葉掘り聞いても解決しないこともある。
聞かなくて良いことは人生にはたくさんある。

 

 

この言葉から数ヶ月後、彼はLA道場のコーチとなる。
なるほど、そういう方面での活動もありだな。
プロレスをすることができない状況でも、何らかの形で関わる事はできる。
柴田の試合はもう見れないかもしれないが、その意志を継ぐレスラーが育つかもしれない。

 


満員の東京ドームに新日本のスピリットを持った外国人レスラーがリングに上がる。
その傍らには、自信に満ち溢れた目で教え子を見つめるセコンドの柴田の姿。

 


こんなことも起きるのかもしれない。
自分の意志を教え子に託すことで、柴田はプロレスに関わることが出来るのかもしれない。

 

 

このとき私はまだ重大なことに気付いていない。

 

 

その後迎えたG1クライマックス決勝。
棚橋のセコンドにはなんと柴田の姿が。
対する飯伏のセコンドにはケニー・オメガ

 


こういう場面で柴田を使ってくるのか。
これはファンには嬉しいサプライズだな。
蝶野の解説同様柴田の解説なんてことも、今後増えてくるのかもしれない。
たしか蝶野も引退は正式には表明していないし、柴田もその路線か。

 

 

このときも私はまだ重大なことに気付いていない。

 

 

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そして今回の動画を見てやっと重大なことに気付いた。
あなたは気付いただろうか。
もしかしたらあなたははじめから分かっていたのかもしれない。
ダサいのは私だけだったのかも。

 


『今、プロレス楽しいですか?』
柴田の答えは
『自分の今やっていることすべてがプロレス』

 

道場で練習生に教えているとき。
棚橋のセコンドに付いたとき。
さらにはファンの前で生きてますと言った両国のリング。

そのすべてが柴田のプロレスの一部。

 

 


『おれは今までプロレスをやめたことがない』

 

 

 

この柴田の言葉にはっとさせられた。


私は今まで何十年もプロレスを見てきたのに何を考えていたんだ。
柴田の言葉に自問自答した。

プロレスはリングの上だけじゃない。
ましてや選手のくくりに入っている者のみの占有物でもない。
怪我が何だと言うのだ。
彼は変わらすプロレスをしているではないか。

 

ファンが視野を狭め、選手に希望や期待を寄せ応援できない。
こんな残念なことはない。

私はプロレスに長く浸かることで大事なものを見失っていたのだ。
マイナスな意味で目が肥えていた。
期待をし裏切られることの多い現代社会に生き、プロレスにまでその考えを持ち込んでいたのだ。

 


今回の動画で柴田には大きなものを思い出させてもらった。
それは諦めない心と期待する感情。
これからますますプロレス観戦が楽しくなりそうだ。

 


最後に。

柴田勝頼は生きています。プロレスラーとして。

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